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運動能力と実行機能に小さな関連―子どもの発達研究

【ちょっと驚き】走る・跳ぶといった運動能力が高い子どもは、計画力や集中力といった認知機能も高い傾向がある

この研究のポイント

5〜18歳の子どもと青少年を対象にした44件の研究を統合分析した結果、運動能力(走る・投げる・バランスを取るなど)と実行機能(計画・注意制御・記憶などの認知能力)の間に小さな正の関連(相関係数 r = 0.18)が見られた。この関連は横断研究だけでなく、時間経過を追った縦断研究や介入実験でも確認され、運動能力を高める取り組みが認知機能向上と関連する可能性が示唆されている。

どんな研究だった?

2024年に発表されたこの系統的レビューとメタ解析では、PubMedやScopusなど6つのデータベースから2023年6月までに公表された研究を検索し、12,117件の文献から最終的に44件を選定した。対象は5〜18歳の学齢期の子どもと青少年で、運動能力(全般的運動能力、移動運動スキル、物体操作スキル、安定性スキルなど)と実行機能(全般的実行機能、抑制、作業記憶、認知的柔軟性など)の関連を調べた研究が含まれた。このうち37件・251の効果量をR統計プログラムの構造方程式モデリングで統合分析した。研究デザインは横断研究、縦断研究、実験研究の3種類が含まれている。

なぜこの結果になったと考えられているか

論文では、運動能力と実行機能は小児期から青年期にかけて共に発達することが指摘されている。運動スキルの習得には計画、注意の制御、作業記憶といった実行機能が必要であり、逆に運動を通じて脳の実行機能を司る領域が刺激される可能性がある。全般的運動能力が実行機能とより強く関連していた(r = 0.25)点については、複数の運動スキルを組み合わせた複雑な動作が認知的要求を高めるためと考えられている。また実験研究で最も高い関連(r = 0.25)が見られたことは、運動介入が実行機能を高める可能性を支持するものの、まだ研究数が少ないため慎重な解釈が必要とされている。

読み解く上での注意

相関係数0.18という値は統計的に有意ではあるものの「小さな関連」であり、運動能力が高ければ必ず実行機能も高いとは言えない。また含まれた実験研究の数が少なく、因果関係を確定するには更なる研究が必要である。対象となった子どもの年齢、文化的背景、測定方法も研究ごとに異なるため、結果の一般化には限界がある。さらに、運動能力と実行機能をつなぐ具体的なメカニズムはまだ十分に解明されていない点にも注意が必要だ。

日常への示唆

この研究結果を踏まえると、子どもの運動遊びや体育活動は身体的な発達だけでなく、認知的な成長にも何らかの役割を果たしている可能性がある。走る・跳ぶ・投げるといった多様な動きを経験する機会を日常に取り入れることは、心身の発達を多角的に支える選択肢の一つになるかもしれない。ただし「運動すれば頭が良くなる」と短絡的に考えるのではなく、子ども自身が楽しみながら身体を動かせる環境を整えることが大切だろう。家庭や学校で、遊びを通じた運動経験を豊かにする工夫を考えてみる価値はありそうだ。


原典情報

  • PMID: 38769244 (PubMed で原文を見る)
  • 掲載誌: Sports medicine (Auckland, N.Z.) (2024年)

本サイトの記事は元論文の abstract から翻案された一般教養としての豆知識です。 医療助言を目的とするものではありません。研究結果の解釈にあたっては 論文の読み方ガイド もご参照ください。

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