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DV被害女性の「認知の歪み」が関係継続を選ばせる可能性

【知ってる?】パートナーからの暴力を受けた女性が関係を離れられない背景に、自己非難や暴力の軽視といった「認知の歪み」が関連している可能性が、12件の研究レビューで示された。

この研究のポイント

親密なパートナーからの暴力(IPV)を受けた女性12研究のスコーピングレビューにより、自己非難、加害者への責任帰属の低さ、暴力の最小化、IPVの正常化、変化への希望、関係の肯定的側面への焦点化など、複数の「認知の歪み」が暴力的関係の継続と関連していることが明らかになった。これらの認知パターンは、女性が暴力の現実を解釈する際に影響を及ぼし、関係を離れる決断を妨げる要因として機能している可能性がある。

どんな研究だった?

2025年に発表されたこの研究は、親密なパートナーからの暴力(IPV)被害女性における認知の歪みと意思決定の関連について、既存のエビデンスを探索・統合・分析したスコーピングレビューである。Web of Science、Scopus、ProQuestの3つのデータベースを用いて系統的検索が行われ、質的研究5件、量的研究4件、混合研究法3件の計12研究が組み入れ基準に従って選定された。研究チームはPRISMA-ScR(スコーピングレビュー用のガイドライン)に従い、IPV被害女性が関係を離れる際に直面する障壁、特に認知的側面に焦点を当てて文献を整理した。

なぜこの結果になったと考えられているか

論文では、IPVにさらされることが女性の身体的・精神的健康にリスクをもたらすにもかかわらず、関係を離れることには様々な障壁が存在すると指摘されている。特に認知の歪みは、暴力の現実についての解釈に影響を与え、女性を「罠」にかける形で機能していると考察されている。自己非難は加害者ではなく自分に問題があると考えさせ、暴力の最小化や正常化は深刻さの認識を妨げる。また「変化への希望」や「救世主信念」は、関係が改善するという非現実的な期待を維持させる。これらの認知パターンが相互作用することで、女性が暴力的関係から離れる決断を下すことが著しく困難になると論文は述べている。

読み解く上での注意

このレビューに含まれた研究は12件と比較的少数であり、質的研究と量的研究が混在している。また、文化的背景や社会経済的状況が異なる集団での研究結果を統合しているため、すべての被害女性に同じパターンが当てはまるとは限らない。さらに、認知の歪みとIPV関係の継続との「関連」が示されているが、どちらが原因でどちらが結果かという因果関係の方向性は明確ではない。暴力そのものが認知の歪みを生み出している可能性も考慮する必要がある。

日常への示唆

この研究は、DVや虐待的関係に関する理解を深める上で重要な視点を提供している。被害者が「なぜ離れないのか」という問いに対し、個人の意志の弱さではなく、認知のメカニズムが関与している可能性を示唆している。支援者や周囲の人々は、被害者を責めるのではなく、こうした認知パターンの存在を理解することが重要だろう。また自分自身や身近な人の関係を振り返る際、暴力を正当化したり最小化したりする思考パターンに気づくことが、早期の問題認識につながるかもしれない。ただし専門的支援が必要な場合は、必ず適切な相談機関に連絡することが推奨される。


原典情報

  • PMID: 39781013 (PubMed で原文を見る)
  • 掲載誌: Psychosocial intervention (2025年)

本サイトの記事は元論文の abstract から翻案された一般教養としての豆知識です。 医療助言を目的とするものではありません。研究結果の解釈にあたっては 論文の読み方ガイド もご参照ください。

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