この研究のポイント
2025年に発表されたシステマティックレビューにより、妊娠中にピラティスを実践した女性268人と通常ケアを受けた女性231人を比較した結果、ピラティス群では生活の質(QoL)、睡眠の質、身体的動きやすさの改善が見られました。また、8つの研究で腰骨盤痛(LBPP)の軽減が報告され、不安や抑うつの低下との関連も示されました。
どんな研究だった?
この研究は、2013年1月から2024年2月までに発表された論文を対象としたシステマティックレビューです。PubMed、Scopus、Web of Science、Trip Databaseの4つのデータベースから、妊娠中にピラティスを実践した女性の生活の質、痛み、メンタルヘルスに関する研究を収集しました。最終的に10件の研究が採用され、合計499人の妊婦(ピラティス実践群268人、通常ケア群231人)のデータが分析されました。各研究の質は、Joanna Briggs Instituteのクリティカル評価ツールを用いて評価されています。
なぜこの結果になったと考えられているか
ピラティスは体幹の筋力強化、柔軟性の向上、姿勢の改善を目的としたエクササイズです。妊娠中は体重増加や姿勢の変化により腰や骨盤への負担が増すため、ピラティスによる筋力とバランスの改善が腰骨盤痛の軽減につながったと考えられています。また、規則的な運動は睡眠の質を高め、エンドルフィンなどの神経伝達物質の分泌を促すことで、不安や抑うつの軽減に寄与する可能性が過去の研究でも示唆されています。看護師や助産師の監督下で行われる運動は、妊婦の健康や生活の質に対する自己認識を向上させる効果も期待されます。
読み解く上での注意
このレビューに含まれた研究の対象者数は合計499人と限定的であり、すべての妊婦に当てはまるとは限りません。また、ピラティスの実施頻度や期間、指導者の質、妊婦の健康状態など、研究間で条件が異なるため、結果の解釈には注意が必要です。1件の研究では腰骨盤痛に有意差が見られなかったことも報告されており、すべての妊婦に同じ効果が現れるわけではないことを理解しておく必要があります。
日常への示唆
妊娠中の運動は、医師や助産師の許可を得た上で安全に行うことが前提です。この研究を踏まえると、ピラティスのような穏やかで体幹を鍛えるエクササイズは、妊娠中の身体的・精神的な負担を和らげる選択肢の1つとして考えてみる価値があるかもしれません。ただし「ピラティスをすれば必ず腰痛が消える」といった断定はできません。自分の体調や妊娠の経過に合わせて、専門家の指導のもとで無理のない範囲で取り組むことが大切です。