効果量ガイド — p 値の 次に 読むべき 指標
「p<0.05 で 統計的有意」と 論文で 見ても、それが 実生活で 役立つ大きさ か は 別問題です。 本ガイドは、効果量 (effect size) の 主要指標 4 種を 実例付きで 解説します。
1. なぜ 効果量が 必要か
p 値は 「観察された差が 偶然で 起きた確率」を 示しますが、差の 大きさは 何も 教えてくれません。 サンプルサイズが 巨大なら 些細な差でも p<0.001 になりますし、逆に 効果が 大きくても 小サンプルなら p 値が 大きくなります。
💡 覚え方: 「p 値 = 差が ある/ない」「効果量 = 差が どれくらい」
2. Cohen's d (連続変数の 差)
2 群の 平均差を 標準偏差で 割ったもの。心理学・教育・スポーツ科学 で 頻出。
| Cohen's d | 解釈 | 実例 |
|---|---|---|
| 0.2 | 小 (small) | ちょっと違う。集団平均は 2 割程度 重なる差の 減少 |
| 0.5 | 中 (medium) | 目で見て 分かる差 |
| 0.8 | 大 (large) | 明らかな差、実用的にも 有用 |
| 1.2+ | 非常に大 | 薬物療法の 目安に 匹敵 |
例: 有酸素運動の うつ症状改善 → Cohen's d ≈ 0.5-0.7 (中~大)
3. オッズ比 (OR)
2 群の 「イベント/非イベント の 比」の 比。ケースコントロール研究・ロジスティック回帰で 頻出。
- OR = 1: 差なし
- OR = 2: 曝露群で イベントが 2 倍起きやすい
- OR = 0.5: 曝露群で イベントが 半減
- 95% CI が 1 を またぐ: 有意でない
⚠️ 注意: イベント発生率が 高い場合 (10% 超)、OR は RR より 極端に 見える。 「OR 2.5」と「RR 2.5」は 数学的に 別物。混同されている 論文も 多い。
4. リスク比 (RR) と ハザード比 (HR)
RR: 2 群の 発症率の 比 (コホート研究、RCT で 使う)。
HR: 単位時間あたりの 発症リスクの 比 (生存分析で 使う)。
- RR = 1.5: 曝露群 は 1.5 倍 発症しやすい
- 相対 vs 絶対: 「リスク 50% 増」でも、元が 1% なら 実質 0.5% 増
5. NNT (Number Needed to Treat)
1 人の 有害イベント を 防ぐ ために、何人 治療すれば 良いか。
例: スタチンの 心血管イベント予防 → NNT 約 100 (100 人 治療して 1 人 助かる)
NNT が 小さい = 効果的、大きい = 全員 治療する 意味が 薄い。
6. 実際に 論文を 読む時の チェック
- p 値だけでなく 効果量 + 95% CI を セットで 確認
- 相対リスク だけでなく 絶対リスク を 見る (ベースが 分からないと 判断できない)
- RCT なら NNT/NNH があると 実用性が わかる
- 効果量が 小さくても、集団全体では 意味ある場合あり (例: 血圧の 5mmHg 減 → 心血管イベント 10% 減)
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最終更新: 2026-09-22