この研究のポイント
2026年に発表されたこのシステマティックレビューとメタ解析では、統合失調症患者1,406人のデータを分析した結果、カフェイン摂取が症状や認知機能に与える影響は一様ではないことが判明した。個別研究では陰性症状(意欲低下や感情の平板化など)への利点を報告するものがある一方、陽性症状(幻覚や妄想など)の悪化を示すものもあった。メタ解析では、全体的な症状重症度への統計的に有意な効果は認められなかった。
どんな研究だった?
PRISMAガイドラインに従い、2024年12月30日までに6つのデータベースから252件の論文をスクリーニングし、最終的に11件(計1,406人の統合失調症患者)を解析対象とした。成人の統合失調症患者を対象に、カフェイン摂取量の異なるグループ間で認知機能、症状、日常生活機能を比較した英語論文が含まれた。ランダム効果モデルを用いてデータを統合し、効果量にはHedges’ g、異質性の評価にはI²統計量を使用した。研究はPROSPEROに事前登録されている。
なぜこの結果になったと考えられているか
論文では、カフェインの影響が多面的である理由として、統合失調症の症状の多様性と、カフェインが脳内の複数の神経伝達物質系に作用することが挙げられている。陰性症状や特定の認知領域には潜在的な利点がある一方、陽性症状の悪化リスクも存在する。さらに、抗精神病薬との相互作用の可能性も指摘されており、これが個々の患者で異なる反応を引き起こす要因と考えられる。日常生活機能に関する結果も異質性が高く、患者ごとの反応の違いが大きいことが示唆された。
読み解く上での注意
今回含まれた研究の質や方法論には幅があり、異質性(I²統計量)が高かったことから、結果の一般化には慎重さが必要である。また、観察研究が多く含まれるため、カフェインと症状変化の因果関係を断定することはできない。対象となった患者集団や摂取されたカフェイン量、併用薬の種類なども研究間で異なるため、すべての統合失調症患者に同じ影響があるとは限らない点に留意すべきである。
日常への示唆
この研究を踏まえると、統合失調症の方がカフェインを摂取する際は、自分の症状や服薬状況に応じて個別に検討する価値があるかもしれない。陰性症状が主な悩みの場合と陽性症状が不安定な場合では、カフェインとの付き合い方が異なる可能性がある。主治医や薬剤師と相談しながら、自分にとって適切な摂取量や頻度を見極めることが、今後の研究結果が出るまでの現実的な対応といえるだろう。一律に「良い」「悪い」とは言えない領域である点を理解しておくことが大切である。